『 No Car、No Life、 65歳、スピード狂の終焉 』         山 地 善 紀 

私の人生・・・徳大在学中も、そして卒業してからは2度の結婚(25歳と41)と開業(30歳で病院経営、43歳で無床クリニック開業)と波乱万丈の65年であった。20歳のとき、講義も受けず街頭デモやラグビーの練習、徹夜マージャンに毎日明け暮れた。その結果、狭心症を患って大学病院に3週間入院し、カテーテル検査を受けラグビーに再帰した。その後、暇を見つけては寝袋ひとつで50ccのモンキーバイクにまたがり、一人で四国八十八箇所巡り、山陰、南紀、北九州一周旅行を敢行した。さらに試験のカンニング、無資格でのアルバイトなど、今でこそ公にできるこの法律破りの無謀さと挑戦の魂は今も健在である?

そもそも我がスピード狂の始まりは、整形外科入局1年目の秋、4年先輩の故栗若良臣先生からの「クルマで走る楽しさを追求しながら膝の研究を一緒にやらないか!」の一言である。栗若先生の勧めで40万円をかけてHKSターボをスカイラインに装着し、爆音を響かせて徳島県内を疾走する一方で、膝回旋運動の解析、関節鏡の普及、人工膝関節の開発、『関節造影と関節鏡』の執筆など関節外科医としての医術も学んだ。その後も先輩諸兄から、アジア諸国での招待講演や公開手術、さらにスポーツドクターとしての海外帯同など多くの実りある経験とともにさまざまなモータースポーツへの知識をも与えていただいた。

年に数回、40歳以上の惑のラグビージャージに身を包み、「One for all, all for one」の精神をもって満身創痍、勝利のため勇猛果敢に前進するラグビーを継続している。しかし悲しいかな走力の衰えには抗えず、ガソリンの力を借りて走るクルマに夢を託しているというのが実情である。60歳の初老がポルシェカレラ911に乗車し、善通寺―松山間の高速道路260km(往復)を1時間30分で爆走したり、覆面パトカーとの駆け引きは日常茶飯事で、気持ちを高揚させるスピード狂の疾走は留まる所を知らない。されど不思議なことに12年間、無事故無違反でゴールドの運転免許証の持ち主である。

ここに現在までのクルマ遍歴を列挙すると、大学時代の日産サニー1200、スズキフロンテ、卒業と同時に,フオードカプリ1800、その後、ケンメリのスカイラインGTHKSターボ付き)、スカイライン1800、スカイラインRSターボ(190ps)、ベンツ190E 2.3-16(185ps)、ベンツ500SEL、いすゞMu4WD、ベンツS500L(330ps)、スズキワゴンR、ポルシェ928(230ps)、トヨタタウンエースNOAH、ベンツCLK320(218ps)、スマート、ポルシェカレラ911(340ps)、ベンツE55AMG(470ps),マツダデミオskyactive、ベンツE63AMG(510ps)と現在に至り、すべての貯蓄をクルマに消費しているかのようである・・・。左写真は現在家族が愛用している自家用車だが、その他右写真の農業用トラクター、軽トラック、芝刈り機のクルマも活躍中である。

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BMW650i,E63AMG22歳息子のBMW320

2009

最高時速10kmの愛用トラクター

ここまで来るとアストンマーティン、フェラ−リ、ランボルギーニへと進化しそうであるが、ついに65歳を機にスピード狂の引退を決意した。それで選んだのが、優雅で深い安らぎの 空間を持つBMW650i(450ps)。これからは、購入した4000坪の農地と共生しつつ、晴耕雨読でマンゴーやぶどう、みかん栽培に精進し、自分を戒めつつ残り少ない人生をゆっくりのんびりと安全運転で歩むつもりである。

2013

アーウィンマンゴー11

2013

善紀農園のピオーネとマンゴー

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温州ミカン120

記  2014年4月

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